香月恵介・HouxoQue 二人展「NOUMENON」


水野勝仁 氏による批評
絶望的に孤独な外部から見える光の空間

 


撮影・編集:香月恵介

 

2018年 6月8日 – 24日

TAV GALLRERY

 

 

 香月恵介の作品は、光の反射を前提し、照明のあてかたによってさまざまに印象を変化させるのに対し、HouxoQue の作品は、それ自体が発光し、めまぐるしく色を明滅させる。いずれの制作においても「光」が中心的なテーマだが、それは単に、両者が劇的な視覚効果を重用しているからではなく、いわば「光それ自体」に対する強い志向を見せているからである。香月が「光のなかにある像」と言うのは、とらえどころのない像を、現象としてではなく、むしろ存在として想定することで、光と私たちの認識とを切りはなしているのであり、あるいは「FF0000 はどんな赤より赤い」といった HouxoQue の言葉には、光を観念論的な実在として前提する思考が表れている。

 そこで、香月恵介の絵画と HouxoQue のディスプレイを、向かいあうように対置してみたい。となりあうように並置するのではなく。そして、ある程度、接近させて――。このとき、一方の画面を透過する光は、互いの作品における本質的な条件に照準を合わせるために、それを反射する他方の画面から必要とされるものであり、形象を与える媒体として観者に提供されるものではない。つまり、二人の作品を対立させることによって中心化される主題は、私たちの知覚とは関係のない、超越的なものなのである。したがって、今、現象学的にではなく、存在論的に考えなければならない。二人の芸術家にとって光は、世界ではなく形而上にあるのだから。

 

curation-2018-06b-1
curation-2018-06b-2
curation-2018-06b-3
curation-2018-06b-4
curation-2018-06b-5
curation-2018-06b-6
curation-2018-06b-7
curation-2018-06b-8
curation-2018-06b-9
curation-2018-06b-10
curation-2018-06b-11
curation-2018-06b-12
curation-2018-06b-13
curation-2018-06b-14
curation-2018-06b-15
previous arrow
next arrow
 

 

施工協力 : 秋山佑太