デザイン:内海 拓
2019年12月6日 – 22日
岡田舜は、主に “バグった” ファミコンの画面を描いている。普通、“バグ” というのは、プログラムの不具合など、論理的な瑕疵を指すが、岡田のモチーフは──たとえば、お母さんが掃除機がけをしていてゲーム機に接触するなど──物理的な “ショック” によって引き起こされる映像の不調である。それと同時に、悲しみとも恐れとも言われぬ感情を生じさせる美的なものとして “バグ” を捉えている。“バグった” ときに感じる精神的な “ショック” は一時的なもので持続しないが、その感覚を呼び覚ますために、“カセット半挿し” などの技巧で “バグ” を再現し、キャンバスに投影するのである。儚いイメージを絵画として固定するのは、単に懐古的なのではなく、アーカイブの概念と強く関係している。人々の記憶から失われつつある現象にアプローチする岡田の作品は、レトロゲームだけにとどまらず、ひいては私たちの享受している文化が後世まで保存されることの確証が揺らいでいる今日において、特別な意味をもっている。